労災保険の特別加入
『労災保険に関する手続き』にも記載してありますが、社長や会社の役員は、原則として労災保険に加入が出来ません。
そのことにより、社長や役員には以下のようなデメリットがあげられます。
労災保険非加入によるデメリット①: 仕事中の怪我(労災)は、全額自己負担
皆さんが普段病院へかかる際は、通常保険証を使います。それによって自己負担は3割となり、気軽に病院へかかれるようになっています。
しかし、仕事中の怪我に関しては、保険証が使用できません。そのため、仕事中の怪我で病院にかかった場合の自己負担は10割(全額自己負担)になります。仮に使えても、後になって残りの7割を請求されます。
労災保険非加入によるデメリット②: 現場へ入れない
社会保険の未加入を防止する目的により、厚生労働省からの通達で、『社会保険及び労災保険に加入していないと、現場へ入れない』という事態が最近多く見られます。
特に最近では、建設業の現場へ下請けに入る場合、必ず保険証の番号などを求められます。
しかし、社長は労災に入れないので、労災の番号が書き入れられず、現場への立ち入りが出来なくなってしまいます。
上記のように、労災保険に入れないことによるデメリットは、決して小さくありません。仕事中の怪我で入院や手術をした場合、健康保険と違って上限額は無い上、全額自己負担となってきます。また、所得補償もありません。
それを解消するために作られた制度が、労災保険の特別加入です。
これは、社長や会社の役員でも、例外的に労災保険へ加入できる制度です。以下に、特別加入することによって受けられるメリットを書いていきます。
特別加入のメリット①: 仕事中の怪我(労災)は、自己負担0
特別加入をしている社長や役員が仕事中の怪我(労災)をした場合、一般の従業員と同様、労災保険の給付(治療費の立て替え払い)が受けられます。そのため、入院や手術をしても出費が最低限に抑えられます。
特別加入している様々な事業主を見ると、この労災給付を受ける目的が一番多く見受けられます。
特別加入のメリット②: 保険料の分割納付
毎年、労働保険料は6月中に原則1回払いで支払います。分納できるのは、支払額が一定額を超える場合のみです。しかし、特別加入している場合(労働保険事務組合に委託している場合)、支払額がどんなに少なくとも、3回に分けて分納できます。これにより、支払いの目処を立てながら事業を進めていただけます。
特別加入のメリット③: 社長も現場へ入れる
上記デメリット②にも書きましたが、最近の建設現場などでは、労災保険に加入していなければ、現場に入ることすら出来ません。特別加入している場合、労災保険に加入しているのと同じ扱いになるため、社長も現場へ入れるようになります。
これまで書いてきたように、労災保険の特別加入には大変メリットが多く、仕事中に事務所から1歩も外へ出ないような社長はともかく、自ら車両の整備をする整備工場の社長や、現場監督として現場に赴くことの多い社長などには、私共も加入するよう勧めております。
では、どうすれば特別加入できるのでしょうか。
それにはまず、『労働保険事務組合へ労災保険の事務を委託』する必要があります。難しい書き方ですが、要するに、『労災保険の手続きを専門家に頼んでやってもらう』必要がある、ということです。
国としては、労災保険の手続きをスペシャリストに任せることで、事務の効率化を図りたいという思いがあり、その見返りとして特別加入を認める、ということのようです。
私共にお任せいただければ、私共の加入している労働保険事務組合に連絡を取り、労働保険の特別加入が可能となります。そのために、労災保険の特別加入を目的として、私共に事務委託を依頼されるお客様も多く見られます。
毎年1回、労働保険の年度更新のみを依頼されるお客様もいらっしゃいます。
ご希望の方は、下記連絡先、または問い合わせフォームよりご連絡下さい。
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